工事中に図-1の現場で、深さ2~3mの崩壊が発生しました。法枠だけの部分は崩落し、長さ3mの補強材を1.4mピッチで打設した補強土部分は、崩壊していません。20㎝断面の法枠には、30㎝も移動したにも関わらずヘアークラックも発生していません。補強土工の変形抑制効果が顕著です。


▲ 画像をクリックで拡大表示

図-1 工事と崩壊箇所

補強土部分の下部を図-2に掲載しました。2本の断層があり、この面で地盤が変形しています。特に、下の断層では、施工途中の法枠が曲がっています。それにしても、補強土工の右側は崩壊しているのに、補強土工部分で崩壊は突然止まっています。補強土工の効果抜群です。この現場では、その後図-2の補強土工を未施工の部分に1.4mピッチの補強土を施工して、20年以上安定しています。

 


▲ 画像をクリックで拡大表示

図-2 下部地盤の変形状況

 

補強土工が1.4mピッチで施工された現場は、崩壊しませんでいたが、補強土工が2.0mピッチで施工された現場は、5 ㎝程度の地盤の変形(図-3)で、300 ㎜断面の法枠は割れてしまい(図-4)結局、同じ個所にアンカー(平板連続受圧板)が施工されました(図-5)。同時に、周囲にも多数のアンカー工が施工された模様です。

 


図-3  5㎝地盤が落ちた現場〔補強材ピッチ2.0m+法枠(F300)〕

 


図-4  5㎝地盤が落ちた現場〔補強材ピッチ2.0m+法枠(F300)〕

 


図-5 法枠破損部分は大きな連続受圧板で、その周囲まで独立受圧板が施工された

 

NEXCO の補強土工設計要領は、補強土工のピッチを1.5m以下としています。背後が岩盤の場合には2.0mまで間隔を広くしても良いが、2.0m まで広げることは推奨していません。